ある視点について 高井友紀子
これまでにないほど、今年の空耳カメラはよく働きました。
一番の理由は、春に京角さんが肩を骨折したから。
どこかへ出かけて写真を撮るのが難しくなった分、仕事をすることに決めたのです。
仕事の写真を撮るのもとても辛かったと思うけれど、働くことで日々をやり過ごすことができました。
夏には肩も良くなったのに、慣性の法則なのか何なのか、そこからも仕事の量は変わらない・・・。
このままでは写真を撮りに行けないかもしれないと危機感を持った京角さんは、スケジュールカレンダーに旅行の予定をいくつか入れました。
今年の後半は、仕事をしているか、旅行に出かけているか。そんな日々が年末まで続いて、今日を迎えています。
のんびりしている瞬間など、1秒もありませんでした。
撮っている写真は、相変わらずよく分からないかもしれません。
ひとつ言えるのは、今年の写真は明るいです。
光の強弱はあるにしろ、空の低さを感じません。雨さえもキラキラと光って見えるのです。
何年も展示を見てくださっている人はご存知だと思うのですが、少し前までの京角さんの写真は暗くて退廃的でした。
でも今年は、何かから解き放たれ、外へ出て行こうという感じがします。留まらないと決意した意思表示のように。
展示タイトルの「perspective」は、視点、考え方、見方という意味です。YMOの曲のタイトルで、作詞は坂本龍一さんとビーター・バラカンさん、作曲は坂本龍一さん。
Everyday(毎日)という言葉が、何度も何度も繰り返されます。
個人的なことを書くと、私は年末の写真展が好きです。
夏休み最終日のような準備をし、お気に入りのセータを着て、皆さんを迎えています。
この一連の流れが、とても尊いものに思えてなりません。
写真展を終えると、これで年が越せると心から安心し、気が抜けて風邪を引いたり風呂場で寝たりしています。
こうして年が暮れていきます。